肋間動脈瘤破裂による大量血胸を来した神経線維腫症1型の1例

神経線維腫症1型(以下:NF1)の患者では血管脆弱性を伴うことがある.症例は43歳女性.左腰痛にて当院救急搬送となり,左肋間動脈瘤破裂による大量血胸と診断した.循環動態は安定しており経カテーテル的動脈塞栓術(以下:TAE)を施行したが,完全止血には至らず出血性ショック状態となり緊急開胸手術を施行した.肋間動脈の広範な結紮止血を試みたが,血管壁組織が脆弱で,血管塞栓用コイルは胸腔内術野に容易に脱落した.最終的には被覆材による圧迫止血でかろうじて止血を得た.過去の報告ではNF1患者77例において計83回の大量血胸を来しており,救命率は74.4%であった.循環動態が安定していればTAEが治療の第1選...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 7; pp. 736 - 743
Main Authors 穴山, 貴嗣, 宮﨑, 涼平, 川本, 常喬, 山本, 麻梨乃, 渡橋, 和政, 岡田, 浩晋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.736

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Summary:神経線維腫症1型(以下:NF1)の患者では血管脆弱性を伴うことがある.症例は43歳女性.左腰痛にて当院救急搬送となり,左肋間動脈瘤破裂による大量血胸と診断した.循環動態は安定しており経カテーテル的動脈塞栓術(以下:TAE)を施行したが,完全止血には至らず出血性ショック状態となり緊急開胸手術を施行した.肋間動脈の広範な結紮止血を試みたが,血管壁組織が脆弱で,血管塞栓用コイルは胸腔内術野に容易に脱落した.最終的には被覆材による圧迫止血でかろうじて止血を得た.過去の報告ではNF1患者77例において計83回の大量血胸を来しており,救命率は74.4%であった.循環動態が安定していればTAEが治療の第1選択となり得る.しかし,脆弱な血管壁組織の破綻に対して開胸手術でも止血が困難な症例が存在することを念頭に置く必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.736