右肺上葉切除後に気管管状切除術施行した高齢者気管癌の1例

症例は84歳男性.3年前に右扁平上皮癌にて右肺上葉切除術(ND1)を施行されている.血痰を主訴に受診した.胸部CTでは下部気管膜様部左側を中心とした大きさ25×18×16 mm大の病変で周囲に浸潤所見はなかった.気管支鏡では,高さ16 mmの腫瘍底を有する表面不整なPolyp様病変で,生検では扁平上皮癌の診断であった.転移所見.臨床経過や画像所見から原発性気管癌と診断した.高齢者ではあったがPerformance Status(PS)0で耐術能に問題なく,救命目的に気管管状切除術を施行する方針となった.右後側方第4肋間開胸で病変部にアプローチした.腫瘍を腫瘍組織の周囲から剥離し,腫瘍の尾側の気...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 5; pp. 316 - 320
Main Authors 堀尾, 裕俊, 坂口, 幸治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.316

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Summary:症例は84歳男性.3年前に右扁平上皮癌にて右肺上葉切除術(ND1)を施行されている.血痰を主訴に受診した.胸部CTでは下部気管膜様部左側を中心とした大きさ25×18×16 mm大の病変で周囲に浸潤所見はなかった.気管支鏡では,高さ16 mmの腫瘍底を有する表面不整なPolyp様病変で,生検では扁平上皮癌の診断であった.転移所見.臨床経過や画像所見から原発性気管癌と診断した.高齢者ではあったがPerformance Status(PS)0で耐術能に問題なく,救命目的に気管管状切除術を施行する方針となった.右後側方第4肋間開胸で病変部にアプローチした.腫瘍を腫瘍組織の周囲から剥離し,腫瘍の尾側の気管を切離,手術野で左主気管支に挿管した.腫瘍除去後の再建は端々吻合を行った.術直後に抜管し,軟性頸椎カラーを装着し首の伸展と左右首振りを制限した.術後特に問題なく退院した.切除断端は陰性であったが腫瘍に近いため局所放射線療法(50 Gy/25 fr)を施行した.術後7年再発を認めない.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.316