外傷性緊張性血胸:自験例と本邦における報告例

症例は72歳女性.交通事故で前胸部をハンドルで強く打ち,救急車で当院へ搬送された.来院時,胸部X線写真で左血胸を認め胸腔ドレーンを留置し,胸部造影CTを実施した.明らかな造影剤の漏出は認めず中等度の血胸であった.入院後3時間後からショックバイタルを呈し,再度胸部単純X線写真を撮影したところ,左肺野の透過性は低下し,縦郭陰影は右側へと偏位を認め,血胸の増悪と考えられ緊急手術を行った.開胸後,胸腔内の血腫2000 gを除去したところ,血圧は回復した.出血源は肺尖部の壁側胸膜からの断裂した索状癒着の異常血管であり,同血管をクリッピングして止血した.他には出血部位は認められなかった.<まとめ>緊張性血...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 469 - 474
Main Authors 関村, 敦, 船﨑, 愛可, 吉松, 隆, 浦本, 秀隆, 薄田, 勝男, 本野, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.469

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Summary:症例は72歳女性.交通事故で前胸部をハンドルで強く打ち,救急車で当院へ搬送された.来院時,胸部X線写真で左血胸を認め胸腔ドレーンを留置し,胸部造影CTを実施した.明らかな造影剤の漏出は認めず中等度の血胸であった.入院後3時間後からショックバイタルを呈し,再度胸部単純X線写真を撮影したところ,左肺野の透過性は低下し,縦郭陰影は右側へと偏位を認め,血胸の増悪と考えられ緊急手術を行った.開胸後,胸腔内の血腫2000 gを除去したところ,血圧は回復した.出血源は肺尖部の壁側胸膜からの断裂した索状癒着の異常血管であり,同血管をクリッピングして止血した.他には出血部位は認められなかった.<まとめ>緊張性血胸を来した外傷性血胸の1例を経験した.外傷性の大量血胸においては,壁側胸膜からの索状癒着による異常血管の破綻はまれではあるものの,念頭に置いたうえで早急な止血術をおこなうべきである.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.469