von Recklinghausen病に十二指腸乳頭カルチノイドおよび多発性十二指腸GISTを合併した1例

症例は59歳,女性.29歳時にvon Recklinghausen病(VRD)と診断されている.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を指摘され当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭に不整形の隆起性病変を認め,生検の結果カルチノイドと診断され,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.十二指腸乳頭に30×25mm大の腫瘤を認めた以外に十二指腸壁に5個の壁在結節を認めた.病理組織検査にて十二指腸乳頭の腫瘤はソマトスタチン産生型のカルチノイド,壁在結節はいずれもGISTと診断された.#17aのリンパ節2個にカルチノイドの転移を認めたが,術後4年の時点で転移再発は認めていない.VRDにおいては神経...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 7; pp. 1668 - 1672
Main Authors 朴, 泰範, 吉田, 泰夫, 伊藤, 雅, 河本, 和幸, 小笠原, 敬三, 池田, 博斉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1668

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Summary:症例は59歳,女性.29歳時にvon Recklinghausen病(VRD)と診断されている.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を指摘され当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭に不整形の隆起性病変を認め,生検の結果カルチノイドと診断され,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.十二指腸乳頭に30×25mm大の腫瘤を認めた以外に十二指腸壁に5個の壁在結節を認めた.病理組織検査にて十二指腸乳頭の腫瘤はソマトスタチン産生型のカルチノイド,壁在結節はいずれもGISTと診断された.#17aのリンパ節2個にカルチノイドの転移を認めたが,術後4年の時点で転移再発は認めていない.VRDにおいては神経線維腫や神経原性腫瘍以外にさまざまな非神経原性腫瘍を合併しうることが報告されており,VRD患者の診療に当たっては消化管病変の合併の可能性に関して常に留意しておく必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1668