異所性肝細胞癌破裂の1例

症例は58歳男性. 主訴は心窩部痛. 腹部全体に強い腹膜刺激症状を認め, CTにて腹腔内に多量の液貯留を認めたため汎発性腹膜炎を疑い緊急手術を施行した. 開腹すると消化管穿孔は認めず, 約700ml の新鮮血および凝血塊を認めた. 腹腔内を検索すると, 左三角間膜内に存在する25×20mm大の腫瘤が破裂し出血を来していた. この腫瘤は肉眼的には肝との連続性は認めなかった. 病理組織検査では高分化型肝細胞癌と診断された. 従って, 左三角間膜内に発生した異所性肝細胞癌が自然破裂, 出血したものと考えられた. 異所性肝細胞癌は非常に稀な疾患であり, なかでも破裂を伴ったものは本症例を含めて4例のみ...

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Published in肝臓 Vol. 46; no. 7; pp. 425 - 430
Main Authors 野村, 尚弘, 末永, 昌宏, 武内, 有城, 三輪, 高也, 神田, 光郎, 飛永, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2005
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.46.425

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Summary:症例は58歳男性. 主訴は心窩部痛. 腹部全体に強い腹膜刺激症状を認め, CTにて腹腔内に多量の液貯留を認めたため汎発性腹膜炎を疑い緊急手術を施行した. 開腹すると消化管穿孔は認めず, 約700ml の新鮮血および凝血塊を認めた. 腹腔内を検索すると, 左三角間膜内に存在する25×20mm大の腫瘤が破裂し出血を来していた. この腫瘤は肉眼的には肝との連続性は認めなかった. 病理組織検査では高分化型肝細胞癌と診断された. 従って, 左三角間膜内に発生した異所性肝細胞癌が自然破裂, 出血したものと考えられた. 異所性肝細胞癌は非常に稀な疾患であり, なかでも破裂を伴ったものは本症例を含めて4例のみという稀有な症例であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.46.425