画像所見が経時的変化を示した細胆管細胞癌の1例

症例は69歳,女性.C型慢性肝炎に対してペグインターフェロン(Peg-IFN)・リバビリン併用療法を施行.Peg-IFN開始前,肝S5領域に腹部超音波にて径10 mm大の低エコー結節を認め,Dynamic CTで周囲から中央へ濃染する腫瘍であり,肝血管腫として経過観察されていた.Peg-IFN終了後,肝S5領域の腫瘍が径15 mm大に増大を認めたために精査入院となった.Dynamic CTでは腫瘍辺縁が動脈相で濃染し,平衡相でwash outを認めるようになり,腫瘍中心部に非濃染部を持つ腫瘍へと変化していた.肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC),あるいは胆管細胞...

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Published in肝臓 Vol. 49; no. 9; pp. 430 - 439
Main Authors 福田, 安伸, 長瀬, 良彦, 馬場, 哲, 小池, 淳樹, 大坪, 毅人, 鈴木, 通博, 中澤, 緑, 伊澤, 直樹, 有泉, 泰, 朝倉, 武士, 相田, 芳夫, 高野, 俊史, 松本, 伸行, 松永, 光太郎, 奥瀬, 千晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2008
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.49.430

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Summary:症例は69歳,女性.C型慢性肝炎に対してペグインターフェロン(Peg-IFN)・リバビリン併用療法を施行.Peg-IFN開始前,肝S5領域に腹部超音波にて径10 mm大の低エコー結節を認め,Dynamic CTで周囲から中央へ濃染する腫瘍であり,肝血管腫として経過観察されていた.Peg-IFN終了後,肝S5領域の腫瘍が径15 mm大に増大を認めたために精査入院となった.Dynamic CTでは腫瘍辺縁が動脈相で濃染し,平衡相でwash outを認めるようになり,腫瘍中心部に非濃染部を持つ腫瘍へと変化していた.肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC),あるいは胆管細胞癌(Cholangiocellular carcinoma:CCC)との混合型肝癌を強く疑い,肝右葉切除術を施行した.腫瘍は組織学的に小型細胞がスリット状の腺腔を形成し,間質には豊富な結合織を認め,免疫染色でCK7, CK19, CK19-9, EMAが陽性,HepPar-1が陰性,c-kitが一部陽性を示し,細胆管細胞癌(Cholangiolocellular carcinoma:CoCC)と診断した.近年,CoCCの報告は増加を認めるも,その臨床像,画像的特徴,組織学的特徴などは必ずしも明らかとは言えない.今回,小腫瘍として発見され,画像上造影所見の変化を認めたCoCCの一切除例を経験したので報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.49.430