血管内マイクロコイル留置により,術中病変を同定した小腸動静脈奇形の1例

症例は58歳,男性.平成20年7月,下血の精査加療目的で入院.入院2日目,多量の下血により一時心肺停止となった.蘇生処置後,腹部造影CTで空腸内へ造影剤の漏出があり空腸出血と診断.緊急血管造影を施行し第3空腸動脈末梢から出血を認め,動脈塞栓術を施行した.入院3日目,緊急で出血部位を含めた小腸部分切除の方針とした.術中病変部位の同定に難渋すると考え,術直前に再度血管造影を施行した.前日出血が見られた空腸動脈末梢に,マイクロコイルでマーキングを施行し開腹手術を行った.術中透視下でTreitz靱帯より60cmの小腸間膜にコイルを確認し,同部位を含め60cmの小腸を切除した.摘出標本で検体中央の粘膜に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 6; pp. 1707 - 1711
Main Authors 杉田, 光隆, 福島, 忠男, 舛井, 秀宣, 澤田, 雄, 長堀, 薫, 茂垣, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1707

Cover

More Information
Summary:症例は58歳,男性.平成20年7月,下血の精査加療目的で入院.入院2日目,多量の下血により一時心肺停止となった.蘇生処置後,腹部造影CTで空腸内へ造影剤の漏出があり空腸出血と診断.緊急血管造影を施行し第3空腸動脈末梢から出血を認め,動脈塞栓術を施行した.入院3日目,緊急で出血部位を含めた小腸部分切除の方針とした.術中病変部位の同定に難渋すると考え,術直前に再度血管造影を施行した.前日出血が見られた空腸動脈末梢に,マイクロコイルでマーキングを施行し開腹手術を行った.術中透視下でTreitz靱帯より60cmの小腸間膜にコイルを確認し,同部位を含め60cmの小腸を切除した.摘出標本で検体中央の粘膜に1.4×1.0cmの隆起病変があり,病理診断では小腸動静脈奇形と診断された.術後多臓器不全の状態となったが,集中治療を行い術後44病日に後遺症なく退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1707