肝細胞癌との鑑別に苦慮した脈絡膜悪性黒色腫肝転移の1例
左脈絡膜悪性黒色腫に対する手術歴(2004年4月,左眼球摘出術)を有する79歳の男性患者が2009年10月に右季肋部痛を主訴に当院外来を受診した.血液検査にて軽度の肝機能障害と高度の凝固系異常が認められたため精査加療目的で同日当科に緊急入院となった.HBs抗原・抗HBs抗体・抗HBc-IgG抗体・抗HCV抗体はいずれも陰性であり,腹部超音波検査・CT検査・MRI検査・血管造影検査で肝両葉に多血性腫瘤が多数認められた.悪性黒色腫に特異的な腫瘍マーカーである5-S-cysteinyldopaが異常高値を呈したがPIVKA IIも著明に上昇していたため画像・血液検査所見からは悪性黒色腫肝転移と肝細胞...
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| Published in | 肝臓 Vol. 52; no. 7; pp. 468 - 476 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2011
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.52.468 |
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| Summary: | 左脈絡膜悪性黒色腫に対する手術歴(2004年4月,左眼球摘出術)を有する79歳の男性患者が2009年10月に右季肋部痛を主訴に当院外来を受診した.血液検査にて軽度の肝機能障害と高度の凝固系異常が認められたため精査加療目的で同日当科に緊急入院となった.HBs抗原・抗HBs抗体・抗HBc-IgG抗体・抗HCV抗体はいずれも陰性であり,腹部超音波検査・CT検査・MRI検査・血管造影検査で肝両葉に多血性腫瘤が多数認められた.悪性黒色腫に特異的な腫瘍マーカーである5-S-cysteinyldopaが異常高値を呈したがPIVKA IIも著明に上昇していたため画像・血液検査所見からは悪性黒色腫肝転移と肝細胞癌の鑑別には至らなかった.超音波下肝腫瘍生検にて悪性黒色腫の確定診断を得た上で同病変に対してシスプラチンを用いた肝動脈化学塞栓療法を施行した.今回我々は「脈絡膜悪性黒色腫肝転移」という非常に稀な一例を経験したので報告する. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.52.468 |