長期気管切開患者における上・下気道細菌叢の観察

安定した長期気管切開患者9例を対象に, 1990年1月から1990年12月までの1年間, 2週間毎定期的に咽頭ぬぐい液 (TS) と気管切開部位からの吸引疾 (TSTA) を同時細菌培養をおこなった. TSとTSTAの検査回数は各々延べ200回であった. 1回平均分離株数はTS2.9株, TSTA 1.8株であった. 細菌の分離頻度はTSでα-Streptococcus 84.8%, Neisseria 69%が主であったのに対して, TSTAではPseudomonas seruginosa 53.5%, Serratia marcescms30%が主であった. これらの菌の上気道との同時分離...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 66; no. 5; pp. 592 - 598
Main Authors 中村, 淳一, 松島, 敏春, 矢野, 達俊, 田野, 吉彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.05.1992
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.592

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Summary:安定した長期気管切開患者9例を対象に, 1990年1月から1990年12月までの1年間, 2週間毎定期的に咽頭ぬぐい液 (TS) と気管切開部位からの吸引疾 (TSTA) を同時細菌培養をおこなった. TSとTSTAの検査回数は各々延べ200回であった. 1回平均分離株数はTS2.9株, TSTA 1.8株であった. 細菌の分離頻度はTSでα-Streptococcus 84.8%, Neisseria 69%が主であったのに対して, TSTAではPseudomonas seruginosa 53.5%, Serratia marcescms30%が主であった. これらの菌の上気道との同時分離率は約20%に過ぎなかった. 9例中8例にPmruginossが下気道に常時または長期定着して認められた. 調査期間中に6例, 延べ14回の感染エピソードがあった. 推定起炎菌はP. seruginosa7回が最も多かった. 長期気管切開患者では, P.seruginosaが下気道に定着し, 感染時の起炎菌となりやすいと思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.592