老人性肺炎における免疫グロブリン療法

老年者の肺炎は, 肺自体の器質的病変のうえに成立する場合が多く, 背景にはしぼしば全身抵抗力の低下が観察される. このため, 近年の抗生物質開発の進歩にもかかわらず, 老年者における肺炎の死亡率は依然高率である. 60歳以上の老人性肺炎患者で抗生物質療法に免疫グロブリン製剤 (スルポ化免疫グロブリン “ベニロン”) の併用された症例について・胸部X線写真, 細菌学的検査を含む臨床諸検査, 臨床経過の明らかな症例をret. rospectiveに集め, その有用性について検討した. 検討にあたっては7名からなる委員会を構成した. 各委員の評価にはバラツキが認められたが, 9症例において各委員の意...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 56; no. 2; pp. 134 - 140
Main Authors 芳賀, 敏彦, 山岡, 澄夫, 関根, 理, 谷岡, 達男, 島田, 馨, 松田, 美彦, 真下, 啓明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.02.1982
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.134

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Summary:老年者の肺炎は, 肺自体の器質的病変のうえに成立する場合が多く, 背景にはしぼしば全身抵抗力の低下が観察される. このため, 近年の抗生物質開発の進歩にもかかわらず, 老年者における肺炎の死亡率は依然高率である. 60歳以上の老人性肺炎患者で抗生物質療法に免疫グロブリン製剤 (スルポ化免疫グロブリン “ベニロン”) の併用された症例について・胸部X線写真, 細菌学的検査を含む臨床諸検査, 臨床経過の明らかな症例をret. rospectiveに集め, その有用性について検討した. 検討にあたっては7名からなる委員会を構成した. 各委員の評価にはバラツキが認められたが, 9症例において各委員の意見がほぼ一致した. 免疫グロブリン製剤の抗生物質との併用における有効性については異論もあるが, 今回「確かに有効である」と思われる症例が存在することが認められた. 免疫グロブリン製剤の有効性はその製剤中に含有される特異抗体に由来すると論ぜられるが, その作用メカニズムについては今後の検討が必要であろう
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.134