妊婦における麻疹中和抗体価, HI抗体価, PA抗体価の相関と各測定法の発症予防レベル

妊婦における麻疹抗体レベルを麻疹の赤血球凝集抑制 (Hemagglutination inhibition: HI) 法で測定したところ, 8倍未満の陰性者が約31%みられた.同じ検体をゼラチン粒子凝集 (Particle agglutination: PA) 法及び中和法で測定したところ, PA抗体価16倍未満, 中和抗体価2倍未満の陰性者はそれぞれ1%, 3%であった.このため3種の測定法で得られた抗体価の相互関係を調べた.HI抗体価, PA抗体価と中和抗体価の陽性領域での相関は良好であった.しかし, 麻疹HI法で抗体陰性と判定されたHI抗体価8倍未満の者のうち81%が, 8倍の者では全員...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 675 - 680
Main Authors 岡崎, 隆行, 高山, 直秀, 斉加, 志津子, 一戸, 貞人, 稲葉, 憲之, 庄田, 亜紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.11.2007
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.81.675

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Summary:妊婦における麻疹抗体レベルを麻疹の赤血球凝集抑制 (Hemagglutination inhibition: HI) 法で測定したところ, 8倍未満の陰性者が約31%みられた.同じ検体をゼラチン粒子凝集 (Particle agglutination: PA) 法及び中和法で測定したところ, PA抗体価16倍未満, 中和抗体価2倍未満の陰性者はそれぞれ1%, 3%であった.このため3種の測定法で得られた抗体価の相互関係を調べた.HI抗体価, PA抗体価と中和抗体価の陽性領域での相関は良好であった.しかし, 麻疹HI法で抗体陰性と判定されたHI抗体価8倍未満の者のうち81%が, 8倍の者では全員が麻疹中和抗体価4倍以上の陽性を示した.麻疹PA抗体価が256倍の者では95%が, 512倍の者では99%が麻疹中和抗体価4倍以上であった.したがって, 中和抗体価4倍を発病予防に必要な抗体レベルの指標とすれば, HI抗体価が8倍, PA抗体価が256倍以上であれば, 大部分は麻疹の発症を免れうるものと考えられた. 麻疹PA法は, HI法と異なって麻疹ウイルスの感染に重要なHemagglutinin (H) 蛋白に対する抗体のみを測定するものではないが, 麻疹抗体検出感度の点でHI法にまさり, 麻疹感受性者の検出にはHI法より適すると考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.81.675