好酸球性副鼻腔炎における活性化好酸球の役割

好酸球性副鼻腔炎(Eosinophilic chronic rhinosinusitis: ECRS)は,高頻度に喘息を合併する難治性の慢性副鼻腔炎であり,上下気道にわたる好酸球性気道炎症である.炎症局所に浸潤している組織好酸球は,活性化し病態形成に重要な役割を果たしている.好酸球の活性化マーカーとしてCD69分子が知られているが,CD69分子の機能的役割は,十分に解明されていない.そのため我々は,好酸球性副鼻腔炎患者の組織から好酸球を単離し,好酸球の活性化とCD69の発現の相関およびその機能的役割の解明をおこなった.結果,CD69分子がヒト末梢血好酸球に比較して組織好酸球に高く発現し,CD6...

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Published in関西医科大学雑誌 Vol. 72; pp. 17 - 21
Main Authors 三谷, 彰敏, 鈴木, 健介, 小林, 良樹, 尹, 泰貴, 朝子, 幹也, 神田, 晃, 岩井, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 関西医科大学医学会 2021
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ISSN0022-8400
2185-3851
DOI10.5361/jkmu.72.17

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Summary:好酸球性副鼻腔炎(Eosinophilic chronic rhinosinusitis: ECRS)は,高頻度に喘息を合併する難治性の慢性副鼻腔炎であり,上下気道にわたる好酸球性気道炎症である.炎症局所に浸潤している組織好酸球は,活性化し病態形成に重要な役割を果たしている.好酸球の活性化マーカーとしてCD69分子が知られているが,CD69分子の機能的役割は,十分に解明されていない.そのため我々は,好酸球性副鼻腔炎患者の組織から好酸球を単離し,好酸球の活性化とCD69の発現の相関およびその機能的役割の解明をおこなった.結果,CD69分子がヒト末梢血好酸球に比較して組織好酸球に高く発現し,CD69の発現量が症状の重症度と相関していることを明らかにした.さらには,CD69の刺激により好酸球性特異的組織傷害性タンパク質の一種であるEPX(Eosinophilic Peroxidase)を放出することを明らかにした.このことより好酸球性副鼻腔炎に対して,CD69分子は新たな治療戦略のターゲットとなることが期待される.
ISSN:0022-8400
2185-3851
DOI:10.5361/jkmu.72.17