アイトラッキングによる自記式質問紙への回答行動の分析 Web調査用質問画面の場合
「1. はじめに」 Web調査が多用される状況のなか, 得られたデータの信頼性や妥当性の問題が指摘されているため, 回答の質の向上に向けた指針を示すことが急務となり, 国内外で回答者の回答に偏りを与えうる要因についての分析が進められている. 具体的には, 回答者の認知処理能力や標本代表性の問題に関する要因や, 質問内容, 語句, 文言, 回答形式等の質問画面に関する要因によって, 回答に偏りが生じることが, 実証研究によって明らかにされつつある. 具体的な研究手法としては, 質問内容や回答形式の一部をわずかに変化させた質問紙や質問画面を作成し, 被験者を半々に割り振って, 回答率などの指標に差...
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Published in | 行動計量学 Vol. 47; no. 2; pp. 141 - 152 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本行動計量学会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-5481 1880-4705 |
DOI | 10.2333/jbhmk.47.141 |
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Summary: | 「1. はじめに」 Web調査が多用される状況のなか, 得られたデータの信頼性や妥当性の問題が指摘されているため, 回答の質の向上に向けた指針を示すことが急務となり, 国内外で回答者の回答に偏りを与えうる要因についての分析が進められている. 具体的には, 回答者の認知処理能力や標本代表性の問題に関する要因や, 質問内容, 語句, 文言, 回答形式等の質問画面に関する要因によって, 回答に偏りが生じることが, 実証研究によって明らかにされつつある. 具体的な研究手法としては, 質問内容や回答形式の一部をわずかに変化させた質問紙や質問画面を作成し, 被験者を半々に割り振って, 回答率などの指標に差異が生じたかどうかを検討するsplit-ballot法(折半法)を活用した実証研究が多くみられる. これは, Web調査以前の紙媒体の質問紙調査における方法論的研究で始まり, たとえばKrosnic & Alwin (1987)は, 回答選択肢の配列が回答行動に及ぼす影響について, 面接調査で提示カードを使い, split-ballot法で得られたデータを用いて, 初頭に位置する回答選択肢は選択されやすいという「初頭効果」が生じていることを確認した. |
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ISSN: | 0385-5481 1880-4705 |
DOI: | 10.2333/jbhmk.47.141 |