1997年4月から1998年8月にかけて福岡県において流行したエコーウイルスによる無菌性髄膜炎について

1997年4月から1998年8月にかけて福岡県において流行した無菌性髄膜炎の患者から採取された検体よりウイルス分離を行い, その血清型別を明らかにし, 無菌性髄膜炎の流行状況の解析を試みた. 福岡県において1997年は7月と12月をピークとする2回の流行が確認された. ウイルス分離同定の結果から1997年の一回目の流行は, エコーウイルス9型 (E9) によるもので, 二回目の流行はエコーウイルス30型 (E30) によるものであった. 一回目の流行の原因ウイルスであるE9は, ほとんど筑後地区でのみ分離され, 他の地区での分離は極めて希れであった. 一方, 二回目の流行の原因ウイルスであるE...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 73; no. 2; pp. 138 - 143
Main Authors 濱崎, 光宏, 千々和, 勝己, 大津, 隆一, 森, 良一, 梶原, 淳睦, 石橋, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.02.1999
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.138

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Summary:1997年4月から1998年8月にかけて福岡県において流行した無菌性髄膜炎の患者から採取された検体よりウイルス分離を行い, その血清型別を明らかにし, 無菌性髄膜炎の流行状況の解析を試みた. 福岡県において1997年は7月と12月をピークとする2回の流行が確認された. ウイルス分離同定の結果から1997年の一回目の流行は, エコーウイルス9型 (E9) によるもので, 二回目の流行はエコーウイルス30型 (E30) によるものであった. 一回目の流行の原因ウイルスであるE9は, ほとんど筑後地区でのみ分離され, 他の地区での分離は極めて希れであった. 一方, 二回目の流行の原因ウイルスであるE30は県下ほとんどの地区から分離された. 1998年は引き続きE30が分離されていたが, 6月からエコーウイルス18型 (E18) が分離されはじめ, 徐々にE18に置き換わろうとしている E30と同定された株は市販の標準抗血清では中和され難い株であった. 我々はこの変異株の抗血清を作成し, 交差中和試験を行った. その結果, 今回分離したE30は, 抗原変異株であることを確認した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.138