商船学生を対象にしたHepatitis B Virus感染に関する血清学的解析

1978年から1985年の間に広島県のA商船高等専門学校に入学した学生703名 (男子) について1年生 (15歳) 時のHBs抗原 (RPHA法), HBs抗体 (PHA法) を検索しその保有状況を検討した. このうち5年生 (19歳) 時にも再度調査された224名はさらにHBc抗体 (EIA法) およびHBs抗原陽性血清のHBe抗原・抗体 (ともにEIA法) を検索し対象内HBV水平感染について検討した. HBc抗体陽性血清は200倍希釈血清についても検討を加えた. 703名の入学時のHBs抗原陽性率は平均2.0%, 年次別では1%から3%の間のほぼ横ばいの, HBs抗体陽性率は平均7.5...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 60; no. 5; pp. 468 - 472
Main Authors 毛利, 久夫, 海佐, 裕幸, 瀬川, 和幸, 妹尾, 正登, 武井, 直已, 徳本, 静代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.05.1986
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.60.468

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Summary:1978年から1985年の間に広島県のA商船高等専門学校に入学した学生703名 (男子) について1年生 (15歳) 時のHBs抗原 (RPHA法), HBs抗体 (PHA法) を検索しその保有状況を検討した. このうち5年生 (19歳) 時にも再度調査された224名はさらにHBc抗体 (EIA法) およびHBs抗原陽性血清のHBe抗原・抗体 (ともにEIA法) を検索し対象内HBV水平感染について検討した. HBc抗体陽性血清は200倍希釈血清についても検討を加えた. 703名の入学時のHBs抗原陽性率は平均2.0%, 年次別では1%から3%の間のほぼ横ばいの, HBs抗体陽性率は平均7.5%, 年次別では15.3%から2.0%へと減少の傾向を示した. ペア血清で調査された224名の延448血清は保有抗原抗体により6群 (I群: HBs抗原, HBc抗体陽性でHBe抗原陽性例, II群: 同じくHBe抗体陽性例, III群: HBs抗体, HBc抗体陽性例, IV群: HBs抗体alone, V群: HBc抗体alone, VI群: HBs抗原・抗体, HBc抗体すべて陰性例) に区別された. 対象内HB感染源は1群で経過した2名とI群からII群へHBe抗原からHBe抗体へseroconversionした2名の計4名 (1.8%) を検出したが, 1年生から5年生までの間に有意な抗原抗体の変化を示した例は認められなかった. HBc抗体の検索においても有意な抗体価の上昇例は認められず対象内HBV新感染例は全く検出されなかった. IV群のHBs抗体alone: 0.4%とV群のHBc抗体alone: 0.9%の間には有意差は認められなかった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.60.468