法定伝染病患者 (昭和56年~昭和61年) に対する臨床的検討
昭和56年から61年迄の6年間に川崎市立川崎病院に収容した成人法定伝染病患者を調査した. 調査期間中最も多く収容されていたのは細菌性赤痢で男性50例女性34例の計84例であった. このうち57例が推定感染地が国外であり年齢分布では男女共に青壮年層が大多数を占めていた. 菌型では国内感染例ではShigella flexneriが最も多く国外感染例ではShigella sonneiが主要菌種であった. アメーバ赤痢が9例収容されていたが, 男性8例女性1例でその内3例は国内水系感染が疑われた. 肝膿傷, 腹膜炎の症例が2例収容されていた. 腸チフスは18例であったが患老11例保菌者が7例であった....
Saved in:
Published in | 感染症学雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 256 - 261 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.03.1989
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.63.256 |
Cover
Summary: | 昭和56年から61年迄の6年間に川崎市立川崎病院に収容した成人法定伝染病患者を調査した. 調査期間中最も多く収容されていたのは細菌性赤痢で男性50例女性34例の計84例であった. このうち57例が推定感染地が国外であり年齢分布では男女共に青壮年層が大多数を占めていた. 菌型では国内感染例ではShigella flexneriが最も多く国外感染例ではShigella sonneiが主要菌種であった. アメーバ赤痢が9例収容されていたが, 男性8例女性1例でその内3例は国内水系感染が疑われた. 肝膿傷, 腹膜炎の症例が2例収容されていた. 腸チフスは18例であったが患老11例保菌者が7例であった. この内推定感染地が国外である症例は5例であり本症がなお国内に定着した感染症と考えられた. この外パラチフスAおよびコレラが各々2例ずつ収容されており本邦における法定伝染病は成人例に於いては消化器系伝染病が主要感染症であると言い得る成績であった. |
---|---|
ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.63.256 |