構造制御した白金ナノ結晶の簡便な合成法の開発とオレフィン水素化反応のモデル触媒への展開

著者らは,形状やサイズを厳密に制御した白金ナノ結晶(Pt NCs)を簡便に合成する多様な液相還元反応法を開発してきた。さらに,調製したPt NCsをモデル触媒に用い,触媒の活性点に関する知見を得た。本稿はこうした著者らの研究成果を中心に概説する。すなわち,Ptイオンを還元してPt NCsを調製する際,溶剤の極性や添加剤などの反応環境に工夫を凝らすことで,試薬の溶解性,反応性,相互作用状態などを厳密に制御し,前駆体Pt(0)核の形成やその成長過程を高度にコントロールできることを明らかにした。厳密に制御した反応方法によって,Pt cubeや単結晶Pt nanowireを簡便に調製することができ,さ...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 56; no. 4; pp. 214 - 220
Main Authors 三宅, 幹夫, 宮林, 恵子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 2013
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.56.214

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Summary:著者らは,形状やサイズを厳密に制御した白金ナノ結晶(Pt NCs)を簡便に合成する多様な液相還元反応法を開発してきた。さらに,調製したPt NCsをモデル触媒に用い,触媒の活性点に関する知見を得た。本稿はこうした著者らの研究成果を中心に概説する。すなわち,Ptイオンを還元してPt NCsを調製する際,溶剤の極性や添加剤などの反応環境に工夫を凝らすことで,試薬の溶解性,反応性,相互作用状態などを厳密に制御し,前駆体Pt(0)核の形成やその成長過程を高度にコントロールできることを明らかにした。厳密に制御した反応方法によって,Pt cubeや単結晶Pt nanowireを簡便に調製することができ,さらにPt cubeの微小化や頂部へ位置選択的なAgの複合化も達成した。調製した形状が異なる数種のPt NCsをモデル触媒として用いてオレフィンの液相水素化反応を行い,Pt(100)面がPt(111)面よりも高い活性を示すことを明らかにした。さらに,サイズが異なるPt cubeを触媒に用いたオレフィン液相水素化反応より,活性点に関する知見も得た。本稿で紹介した成果は,高性能触媒の設計指針の導出につながるものと期待される。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.56.214