透析患者肺結核症における合併肺外病巣
透析患者のごとき免疫不全患者では結核の肺外散布が起こりやすいであろうと推測されている.そこで透析患者における肺結核の肺外病巣につき疫学的に検討した. 対象は全国161施設の透析患者男子4,722人, 女子2,552人でそのうち結核患者は150人であった結核病巣が明らかな男子84人, 女子53人のうち肺結核患者は男子59人, 女子26人であった.肺結核透析患者のうち肺外病巣を伴ったものは男子14人, 女子13人であり, 肺結核患者のうち男子で24%, 女子50%が肺外病巣を伴っていた.透析患者は非腎不全期に比べ肺外病巣を伴うことが多く, 肺外病巣を伴う肺結核は予後が不良であった.肺結核の致命率は...
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| Published in | 感染症学雑誌 Vol. 56; no. 5; pp. 381 - 385 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.05.1982
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0387-5911 1884-569X |
| DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.381 |
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| Summary: | 透析患者のごとき免疫不全患者では結核の肺外散布が起こりやすいであろうと推測されている.そこで透析患者における肺結核の肺外病巣につき疫学的に検討した. 対象は全国161施設の透析患者男子4,722人, 女子2,552人でそのうち結核患者は150人であった結核病巣が明らかな男子84人, 女子53人のうち肺結核患者は男子59人, 女子26人であった.肺結核透析患者のうち肺外病巣を伴ったものは男子14人, 女子13人であり, 肺結核患者のうち男子で24%, 女子50%が肺外病巣を伴っていた.透析患者は非腎不全期に比べ肺外病巣を伴うことが多く, 肺外病巣を伴う肺結核は予後が不良であった.肺結核の致命率は合併する肺外結核罹患臓器数の増加に伴い高くなった.合併する肺外罹患臓器は多彩で脳実質と筋肉を除き全身に及んでいた.各肺外臓器の合併頻度は異なり, 頻繁に合併する臓器が侵された場合患者の致命率は低く, 合併が稀な臓器が侵襲された場合は致命率が高かった.致命率を高くした合併結核臓器は非腎不全期には合併が見られず透析患者に特徴的に見られた。 |
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| ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
| DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.381 |