MEORに有用な非水溶性ポリマー生産微生物CJF-002の特性

中国吉林省扶余油田において実施されたMEORフィールドテストでは,非水溶性ポリマー生産微生物であるEnterobacter sp. CJF-002が用いられ,オイルカットを試験前の2倍以上にまで回復させるなど,極めて高い石油増進回収効果をもたらした。本研究では,このCJF-002の基礎的な特性について検討した。 CJF-002は,油層内より単離された通性嫌気性微生物であることから,MEOR(microbial enhanced oil recovery)に利用しやすい微生物である。この微生物を中国産モラセスを基質として培養すると非水溶性ポリマーを生産し,そのポリマーは自重の約200倍もの水を保...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 47; no. 4; pp. 282 - 292
Main Authors 洪, 承燮, 藤原, 和弘, 矢澤, 仁徳, 菅井, 裕一, 大塚, 牧子, 榎本, 兵治, 千田, 佶, 崔, 吉, 永瀬, 圭司, 木下, 睦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 2004
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.47.282

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Summary:中国吉林省扶余油田において実施されたMEORフィールドテストでは,非水溶性ポリマー生産微生物であるEnterobacter sp. CJF-002が用いられ,オイルカットを試験前の2倍以上にまで回復させるなど,極めて高い石油増進回収効果をもたらした。本研究では,このCJF-002の基礎的な特性について検討した。 CJF-002は,油層内より単離された通性嫌気性微生物であることから,MEOR(microbial enhanced oil recovery)に利用しやすい微生物である。この微生物を中国産モラセスを基質として培養すると非水溶性ポリマーを生産し,そのポリマーは自重の約200倍もの水を保持する能力を有し,グルコースを主構成糖としたセルロース誘導体であった。 また,基本的な培養条件(モラセス濃度,温度,初期pH,塩分濃度,炭素源種,酸素,圧力,初期菌体濃度)について,CJF-002の増殖と非水溶性ポリマーの生産に及ぼす影響を検討した結果,MEORフィールドテストで想定されるプロセスにおいては十分に増殖して非水溶性ポリマーの生産を行うことが示唆された。また,塩分濃度を除けば,幅広い油層への適応性も示された。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.47.282