声門部に発生した孤立性線維性腫瘍の1例

症例は76歳女性。嗄声を主訴に来院し,左仮声帯から声帯にかけての粘膜下腫瘤を認めた。CTで最大径25mmの内部不均一で造影効果の高い腫瘤を認めた。腫瘍の増大が認められ,呼吸困難感も出現したため,準緊急的に手術を施行した。術前に栄養血管の塞栓術を施行し,甲状軟骨の上端を切除することで視野を確保し,腫瘍を破綻させることなく摘出し得た。病理では,紡錘形腫瘍細胞のびまん性増殖を認め,CD34,STAT6が陽性であり,孤立性線維性腫瘍と診断された。術後8か月経過した現在,再発を認めていない。喉頭腫瘍における頻度はまれであるが,孤立性線維性腫瘍の可能性も念頭におく必要があると考えられた。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 34; no. 1; pp. 57 - 63
Main Authors 平野, 雄介, 伊藤, 吏, 倉上, 和也, 千田, 邦明, 八鍬, 修一, 安孫子, 佑子, 鎌田, 恭平, 欠畑, 誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.34.57

Cover

More Information
Summary:症例は76歳女性。嗄声を主訴に来院し,左仮声帯から声帯にかけての粘膜下腫瘤を認めた。CTで最大径25mmの内部不均一で造影効果の高い腫瘤を認めた。腫瘍の増大が認められ,呼吸困難感も出現したため,準緊急的に手術を施行した。術前に栄養血管の塞栓術を施行し,甲状軟骨の上端を切除することで視野を確保し,腫瘍を破綻させることなく摘出し得た。病理では,紡錘形腫瘍細胞のびまん性増殖を認め,CD34,STAT6が陽性であり,孤立性線維性腫瘍と診断された。術後8か月経過した現在,再発を認めていない。喉頭腫瘍における頻度はまれであるが,孤立性線維性腫瘍の可能性も念頭におく必要があると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.34.57