腸間膜膿瘍を形成した穿通性回腸憩室症の2例

小腸憩室はまれな疾患である.Meckel憩室を除くと,その多くは腸間膜側に発生するため,穿通をきたした際には腸間膜膿瘍を形成することが多い.今回われわれは,腸間膜膿瘍を術前にCT検査で診断し手術を施行した回腸憩室穿通の2例を経験したので報告する.症例1:79歳男性.右下腹部痛を主訴に紹介受診した.CT検査で回盲部腸間膜側の膿瘍と上行結腸憩室を認めたため,上行結腸憩室炎の穿通による腸間膜膿瘍と診断し,回盲部切除術を施行した.症例2:63歳男性.近医で大腸内視鏡検査を施行した後,発熱・腹部膨満感が出現したため当院紹介受診となった.CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,小腸穿通による腸間膜膿瘍の診断...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 3; pp. 698 - 704
Main Authors 杉田, 光隆, 福島, 忠男, 舛井, 秀宣, 鈴木, 紳祐, 長堀, 薫, 茂垣, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.698

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Summary:小腸憩室はまれな疾患である.Meckel憩室を除くと,その多くは腸間膜側に発生するため,穿通をきたした際には腸間膜膿瘍を形成することが多い.今回われわれは,腸間膜膿瘍を術前にCT検査で診断し手術を施行した回腸憩室穿通の2例を経験したので報告する.症例1:79歳男性.右下腹部痛を主訴に紹介受診した.CT検査で回盲部腸間膜側の膿瘍と上行結腸憩室を認めたため,上行結腸憩室炎の穿通による腸間膜膿瘍と診断し,回盲部切除術を施行した.症例2:63歳男性.近医で大腸内視鏡検査を施行した後,発熱・腹部膨満感が出現したため当院紹介受診となった.CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,小腸穿通による腸間膜膿瘍の診断で小腸切除術を施行した.共に病理組織検査で,回腸憩室穿通による腸間膜膿瘍と診断した.回腸憩室の存在を術前に診断することは困難であるが,CT検査で腸間膜膿瘍を認めた際には本疾患を念頭に置く必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.698