ICG蛍光法を用いた乳管腺葉区域切除術で治癒した血性乳頭分泌の1例

はじめに:血性乳頭分泌は,悪性疾患を原因とすることが多く,診断と治療に慎重な対応が求められる.術中インドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)蛍光乳管造影により切除範囲を確定し乳管腺葉区域切除(DLS)を実施して治癒した乳管内乳頭腫による血性乳頭分泌の1例を経験したので報告する.症例:50歳,女性.左A領域に1.0×1.0×0.7cmの腫瘤を認めた.術前診断未確定ながら,家族歴による患者の強い希望で診断と治療を一期的に行うためDLSを実施した.術中乳管造影および染色のために,インジゴカルミンとICGの9:1混合液を用いた.ICG蛍光は皮膚を通じて明瞭に観察され,皮膚切開...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 11; pp. 2986 - 2991
Main Authors 小林, 清二, 河合, 朋昭, 小笠原, 和宏, 小柳, 要, 小林, 篤寿, 草野, 満夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.2986

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Summary:はじめに:血性乳頭分泌は,悪性疾患を原因とすることが多く,診断と治療に慎重な対応が求められる.術中インドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)蛍光乳管造影により切除範囲を確定し乳管腺葉区域切除(DLS)を実施して治癒した乳管内乳頭腫による血性乳頭分泌の1例を経験したので報告する.症例:50歳,女性.左A領域に1.0×1.0×0.7cmの腫瘤を認めた.術前診断未確定ながら,家族歴による患者の強い希望で診断と治療を一期的に行うためDLSを実施した.術中乳管造影および染色のために,インジゴカルミンとICGの9:1混合液を用いた.ICG蛍光は皮膚を通じて明瞭に観察され,皮膚切開前に切除対象腺葉区域を特定できた.病理診断は乳管内乳頭腫で,術後血性乳頭分泌の再発はみられなかった.結論:悪性診断を確定できないか切除範囲を特定できない血性乳頭分泌症例の診断と治療にDLSを必要とする場合があり,その切除範囲決定にICG蛍光法が役立った.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2986