肝動脈化学塞栓療法時のhydrationによる体液貯留予防にTolvaptanが有効であった肝硬変合併肝細胞癌の4例
肝細胞癌症例の多くは肝硬変が背景にあり,肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization;TACE)後に胸腹水の貯留や浮腫をきたすことがある.また,TACEの際に使用する造影剤,抗癌剤等の薬剤は腎障害のリスクがあり,特にシスプラチンは腎毒性が強く,腎障害の予防としてhydrationが確立しているが,肝硬変症例では大量輸液は体液貯留につながる可能性がある.Tolvaptan(TLV)は選択的V2受容体拮抗薬で,腎機能悪化やNaの低下を起こしにくいとされる.体液貯留のリスクがある肝硬変合併肝細胞癌症例のTACE直後にTLVを投与したところ,術後...
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          | Published in | 肝臓 Vol. 58; no. 10; pp. 582 - 588 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本肝臓学会
    
        2017
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| Subjects | |
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| ISSN | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI | 10.2957/kanzo.58.582 | 
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| Summary: | 肝細胞癌症例の多くは肝硬変が背景にあり,肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization;TACE)後に胸腹水の貯留や浮腫をきたすことがある.また,TACEの際に使用する造影剤,抗癌剤等の薬剤は腎障害のリスクがあり,特にシスプラチンは腎毒性が強く,腎障害の予防としてhydrationが確立しているが,肝硬変症例では大量輸液は体液貯留につながる可能性がある.Tolvaptan(TLV)は選択的V2受容体拮抗薬で,腎機能悪化やNaの低下を起こしにくいとされる.体液貯留のリスクがある肝硬変合併肝細胞癌症例のTACE直後にTLVを投与したところ,術後尿量が増加し,体液貯留を抑制し,eGFRの維持が可能であった.TVLは,腎保護や体液貯留予防として,TACE時のhydrationにおける有効な利尿薬となりうる可能性が示唆された. | 
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI: | 10.2957/kanzo.58.582 |