術前診断に経鼻内視鏡を用いた直接経口胆道鏡が有用であったIntraductal papillary neoplasm of the bile ductの一例

症例は57歳女性.アルコール依存症の断酒治療のため前医に入院した際,スクリーニング目的の腹部超音波検査で,肝左葉に45 mmの囊胞性病変と左葉肝内胆管から総胆管にかけて拡張を認め,精査のため当院へ紹介された.CT,MRIでは,囊胞性病変は胆管と連続性があり,囊胞状に拡張した肝内胆管と考えられ,また内部には造影される乳頭状の結節を認めた.内視鏡的逆行性胆道造影では,胆管内に粘液を示唆する透亮像を認めた.直接経口胆道鏡では,囊胞状に拡張した胆管内にはイクラ状隆起が観察され,生検組織の病理診断は乳頭腺癌であった.肝左葉に限局するIPNBと診断し,肝左葉切除術を施行した.組織生検や上皮内進展度評価に際...

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Published in肝臓 Vol. 55; no. 11; pp. 661 - 669
Main Authors 東, 美智代, 藤崎, 邦夫, 宇都, 浩文, 風呂井, 彰, 橋元, 慎一, 橋口, 正史, 肱黒, 薫, 井戸, 章雄, 重田, 浩一朗, 長谷川, 将
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2014
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.55.661

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Summary:症例は57歳女性.アルコール依存症の断酒治療のため前医に入院した際,スクリーニング目的の腹部超音波検査で,肝左葉に45 mmの囊胞性病変と左葉肝内胆管から総胆管にかけて拡張を認め,精査のため当院へ紹介された.CT,MRIでは,囊胞性病変は胆管と連続性があり,囊胞状に拡張した肝内胆管と考えられ,また内部には造影される乳頭状の結節を認めた.内視鏡的逆行性胆道造影では,胆管内に粘液を示唆する透亮像を認めた.直接経口胆道鏡では,囊胞状に拡張した胆管内にはイクラ状隆起が観察され,生検組織の病理診断は乳頭腺癌であった.肝左葉に限局するIPNBと診断し,肝左葉切除術を施行した.組織生検や上皮内進展度評価に際し,シングルバルーン小腸内視鏡用スライディングチューブと経鼻内視鏡を用いた直接経口胆道鏡が有用であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.55.661