ステントグラフト内挿術が奏効したリンパ管血管奇形合併外腸骨動脈瘤の1例

症例は66歳,女性.幼少期より左下肢の過成長傾向を認め,20歳台から浮腫や血栓性静脈炎などの静脈うっ滞症候群を繰り返していた.56歳時のCT検査で左外腸骨動脈瘤とリンパ管および静脈奇形を指摘され,今回66歳で左鼠径部の皮下腫瘤増大と同側股関節可動制限を自覚したため,精査加療目的で当科紹介となった.術前精査では,リンパ管および静脈奇形を主とする混合型血管奇形を合併した左外腸骨動脈瘤を認めた.左総腸骨動脈から下肢末梢動脈の拡張蛇行を認め,今回は破裂の危険性が高い直径43mmの外腸骨動脈瘤を治療対象とした.リンパ管および静脈奇形が左下腹部体壁から後腹膜にかけてびまん性に存在するため開腹瘤切除術は困難...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 12; pp. 2935 - 2939
Main Authors 宮本, 伸二, 森, 宣, 梅野, 惟史, 本郷, 哲央, 亀井, 律孝, 廣田, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2935

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Summary:症例は66歳,女性.幼少期より左下肢の過成長傾向を認め,20歳台から浮腫や血栓性静脈炎などの静脈うっ滞症候群を繰り返していた.56歳時のCT検査で左外腸骨動脈瘤とリンパ管および静脈奇形を指摘され,今回66歳で左鼠径部の皮下腫瘤増大と同側股関節可動制限を自覚したため,精査加療目的で当科紹介となった.術前精査では,リンパ管および静脈奇形を主とする混合型血管奇形を合併した左外腸骨動脈瘤を認めた.左総腸骨動脈から下肢末梢動脈の拡張蛇行を認め,今回は破裂の危険性が高い直径43mmの外腸骨動脈瘤を治療対象とした.リンパ管および静脈奇形が左下腹部体壁から後腹膜にかけてびまん性に存在するため開腹瘤切除術は困難と判断し,浅大腿動脈アプローチのステントグラフト内挿術を施行した.術後は問題なく経過し,第7病日に退院となり,初回外来CT検査でもendoleak無く経過した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2935