肋骨原発軟骨肉腫の一切除例
症例は70歳,女性.左肋弓部の圧痛を伴う手拳大の腫脹に気づき当院内科を受診.CT検査では左第6肋骨周囲に12 cmの肋骨破壊と内部の石灰化を伴う腫瘤を認め,腹膜を越えて肝臓,胃への浸潤が疑われた.またMRI検査にて腫瘤はT2強調画像で内部不均一な高信号を呈していたが,腫瘤と胃,肝臓の間にスペースを認め,腹腔内臓器への浸潤は否定的であった.軟骨肉腫等の胸壁腫瘍が疑われ,加療目的に当科へ紹介.左胸壁広範切除(腫瘍端から3 cmの切除縁を確保し第5,6,7,8肋骨部分切除,胸骨部分切除,横隔膜部分切除)を行った.病理所見は軟骨基質を伴う異型の腫瘍細胞が浸潤増生しており,肋骨原発の軟骨肉腫と診断された...
Saved in:
Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 93 - 98 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
15.01.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.35.93 |
Cover
Summary: | 症例は70歳,女性.左肋弓部の圧痛を伴う手拳大の腫脹に気づき当院内科を受診.CT検査では左第6肋骨周囲に12 cmの肋骨破壊と内部の石灰化を伴う腫瘤を認め,腹膜を越えて肝臓,胃への浸潤が疑われた.またMRI検査にて腫瘤はT2強調画像で内部不均一な高信号を呈していたが,腫瘤と胃,肝臓の間にスペースを認め,腹腔内臓器への浸潤は否定的であった.軟骨肉腫等の胸壁腫瘍が疑われ,加療目的に当科へ紹介.左胸壁広範切除(腫瘍端から3 cmの切除縁を確保し第5,6,7,8肋骨部分切除,胸骨部分切除,横隔膜部分切除)を行った.病理所見は軟骨基質を伴う異型の腫瘍細胞が浸潤増生しており,肋骨原発の軟骨肉腫と診断された.軟骨肉腫は化学療法と放射線治療の効果が少なく,広範囲切除が重要である.今回,我々は左肋骨原発の軟骨肉腫に対し外科的に切除し得た1例を経験したので報告する. |
---|---|
ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.35.93 |