直腸癌を併存したIgG4関連リンパ節症の1例

直腸癌と術前診断し手術を施行したが,小腸間膜リンパ節にIgG4関連リンパ節症を併存していた1例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.下血を主訴に近医を受診し,精査にて直腸癌の診断で当院紹介となった.血液検査では,軽度の炎症反応,IgEの上昇,腫瘍マーカーの上昇(CEA 7.1ng/ml,CA19-9 69U/ml)を認めた.CT検査で小腸間膜に数個の結節を認め,腹膜播種の可能性も考え,試験開腹し小腸間膜の結節を迅速病理に提出したところ,IgG4関連リンパ節症の診断であった.低位前方切除術と小腸間膜リンパ節切除術を施行した.術後採血で血清IgG4の上昇(146mg/dl)を認めた.小腸間膜...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 10; pp. 2817 - 2823
Main Authors 前田, 佳之, 河毛, 利顕, 長谷, 諭, 田原, 浩, 布袋, 裕士, 佐々木, なおみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.2817

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Summary:直腸癌と術前診断し手術を施行したが,小腸間膜リンパ節にIgG4関連リンパ節症を併存していた1例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.下血を主訴に近医を受診し,精査にて直腸癌の診断で当院紹介となった.血液検査では,軽度の炎症反応,IgEの上昇,腫瘍マーカーの上昇(CEA 7.1ng/ml,CA19-9 69U/ml)を認めた.CT検査で小腸間膜に数個の結節を認め,腹膜播種の可能性も考え,試験開腹し小腸間膜の結節を迅速病理に提出したところ,IgG4関連リンパ節症の診断であった.低位前方切除術と小腸間膜リンパ節切除術を施行した.術後採血で血清IgG4の上昇(146mg/dl)を認めた.小腸間膜リンパ節の病理組織学的所見では,直腸癌を併存したIgG4関連リンパ節症が最も考えられた.術後はステロイド内服を開始し経過良好である.若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2817