妊婦の身体感覚と胎児への愛着の関連性

目 的 本研究は,妊婦の身体感覚と胎児への愛着の関連性を明らかにすることを目的とした。 対象と方法 妊婦の身体感覚を客観的に評価するため,第1因子「全身的身体感覚」14項目,第2因子「局所的身体感覚」8項目,第3因子「胎児位置身体感覚」4項目で構成された「妊婦身体感覚尺度」(Somatosensory Scale of Pregnancy; SSOP)(26項目)を作成した。SSOPとMullerの「胎児愛着尺度」を併用して,妊婦健診内容(超音波診断回数,妊婦診察・保健指導実施者と実施時間)の異なる3種類の出産施設において,初産婦390人を対象に調査を実施した。毎回の妊婦健診時に超音波診断を提...

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Published in日本助産学会誌 Vol. 21; no. 1; pp. 1_6 - 1_16
Main Authors 大橋, 一友, 鈴井, 江三子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 2007
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ISSN0917-6357
1882-4307
DOI10.3418/jjam.21.1_6

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Summary:目 的 本研究は,妊婦の身体感覚と胎児への愛着の関連性を明らかにすることを目的とした。 対象と方法 妊婦の身体感覚を客観的に評価するため,第1因子「全身的身体感覚」14項目,第2因子「局所的身体感覚」8項目,第3因子「胎児位置身体感覚」4項目で構成された「妊婦身体感覚尺度」(Somatosensory Scale of Pregnancy; SSOP)(26項目)を作成した。SSOPとMullerの「胎児愛着尺度」を併用して,妊婦健診内容(超音波診断回数,妊婦診察・保健指導実施者と実施時間)の異なる3種類の出産施設において,初産婦390人を対象に調査を実施した。毎回の妊婦健診時に超音波診断を提供する施設を「病院」「助産所あり」,提供しない施設を「助産所」とした。 結 果 妊婦の胎児位置身体感覚得点は妊娠中期には「病院」に比して「助産所あり」が,妊娠末期には「助産所あり」と「助産所」が有意に高い値を示した。胎児愛着得点は妊娠中期,妊娠末期共に病院に比して「助産所」が有意に高く,「助産所」と「助産所あり」は有意差がなかった。全身的身体感覚得点と局所的身体感覚得点は,妊娠中期,妊娠末期を通じて「病院」,「助産所あり」,「助産所」,の3群間に有意差はなかった。また,胎児位置身体感覚得点と胎児愛着得点には有意な相関(p<0.000)があり,相関係数は0.427(妊娠中期0.372,妊娠末期0.323)であった。 結 論 妊婦の身体感覚は全身的身体感覚と局所的身体感覚,及び胎児位置身体感覚の3因子があり,この中で胎児位置身体感覚と胎児への愛着にはかなり関連性のあることが明らかになった。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.21.1_6