小児の6自由度顎運動解析

小児の顎運動を下顎全体の運動としてとらえ評価するために, 個性正常咬合を有する乳歯列期小児4名 (男児1名, 女児3名) , 混合歯列期小児7名 (男児2名, 女児5名) , 成人10名 (男性2名, 女性8名) を対象に6自由度顎運動測定を行い, コンピュータグラフィックスによる小児の顎運動の再現を行うとともに, その特徴を明らかにするために, 顎間軸モデルを用いて検討し, 以下のような結果を得た. 1.小児でも被験者によっては運動論的顆頭点の検索が可能であることが示された. 2.小児の側方滑走運動における作業側顆頭移動量は成人に比較して有意に大きいことが示された. 3.小児では側方滑走運動...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 6; no. 1; pp. 43 - 54
Main Authors 住友, 路子, 重本, 修伺, 山口, 公子, 坂東, 永一, 郡由, 紀子, 西野, 瑞穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 1999
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ISSN1340-9085
1883-986X
DOI10.7144/sgf.6.43

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Summary:小児の顎運動を下顎全体の運動としてとらえ評価するために, 個性正常咬合を有する乳歯列期小児4名 (男児1名, 女児3名) , 混合歯列期小児7名 (男児2名, 女児5名) , 成人10名 (男性2名, 女性8名) を対象に6自由度顎運動測定を行い, コンピュータグラフィックスによる小児の顎運動の再現を行うとともに, その特徴を明らかにするために, 顎間軸モデルを用いて検討し, 以下のような結果を得た. 1.小児でも被験者によっては運動論的顆頭点の検索が可能であることが示された. 2.小児の側方滑走運動における作業側顆頭移動量は成人に比較して有意に大きいことが示された. 3.小児では側方滑走運動時, 咬頭嵌合位と各顎位との間で求まる顎間軸が成人のように作業側顆頭付近に収斂せず, 作業側顆頭付近に一定の回転中心をもたない場合が多いことが示された. 4.小児では側方滑走運動時, 咬頭嵌合位と各顎位との間で求まる顎間軸において, 軸に沿った平行移動量が大きく, 回転量はIIA期小児の運動初期を除いて成人とほとんど変わらなかった. 以上の結果から, 小児では成人と比較して, 側方滑走運動時, 平行移動要素が大きく, 下顎全体として横滑りする様な運動をしている場合が多いことが示唆された.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.6.43