緊急手術を要した傍直腸窩内ヘルニアの1例

症例は79歳,女性.腹痛を主訴に前医を受診し,腸閉塞の診断にて入院加療されたが改善を認めなかったため,当院へ救急搬送となった.当院で再度精査するも腸閉塞の原因は不明であった.子宮全摘の手術歴があったことなどから癒着性腸閉塞であろうと考え,まずはイレウス管にて保存的加療の方針とした.しかしながら,その後も症状の改善を認めず状態が悪化したため,入院6日目に緊急開腹手術を施行した.術中所見にて小腸が直腸S状部右側の傍直腸窩に嵌頓していたため,傍直腸窩内ヘルニアと診断した.手術では絞扼を解除し壊死腸管を切除した.今回われわれは,内ヘルニアの中でも極めて稀である傍直腸窩内ヘルニアを経験し,診断および治療...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 10; pp. 2134 - 2138
Main Authors 榎木, 佑弥, 齊藤, 靖裕, 東出, 靖弘, 宇山, 志朗, 室谷, 知孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.2134

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Summary:症例は79歳,女性.腹痛を主訴に前医を受診し,腸閉塞の診断にて入院加療されたが改善を認めなかったため,当院へ救急搬送となった.当院で再度精査するも腸閉塞の原因は不明であった.子宮全摘の手術歴があったことなどから癒着性腸閉塞であろうと考え,まずはイレウス管にて保存的加療の方針とした.しかしながら,その後も症状の改善を認めず状態が悪化したため,入院6日目に緊急開腹手術を施行した.術中所見にて小腸が直腸S状部右側の傍直腸窩に嵌頓していたため,傍直腸窩内ヘルニアと診断した.手術では絞扼を解除し壊死腸管を切除した.今回われわれは,内ヘルニアの中でも極めて稀である傍直腸窩内ヘルニアを経験し,診断および治療に難渋した.本疾患は診断が困難な疾患の一つであると思われるが,自験例でもなかなか確定診断がつかず,そのため緊急手術とするまでに時間を要した.本疾患について,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2134