IVC血栓合併を疑いフィルター留置後腹腔鏡下開窓術を行った30cm肝嚢胞の1例

症例は62歳の女性.3年前の腹部CT検査で肝右葉に10.2×10.5cm大の肝嚢胞を認め,30.0×20.1cm大と経時的に肝嚢胞の増大傾向を認めたため,当院消化器内科より依頼となった.CT上嚢胞による下大静脈の高度圧排像,両大腿静脈~下大静脈腎静脈流入部付近にかけて内腔の低吸収域が認められ,肝嚢胞の圧排が原因と思われる下大静脈血栓症をきたしている可能性が考えられた.術後塞栓症が危惧されたため,下大静脈フィルター(IVCフィルター)を挿入後,腹腔鏡下に肝嚢胞開窓術を施行.病理組織学的には孤立性肝嚢胞で,明らかな悪性所見は認められなかった.術後経過は良好で第11病日にIVCフィルターを抜去し,第...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 10; pp. 2150 - 2155
Main Authors 國場, 幸均, 真船, 太一, 小倉, 佑太, 小泉, 哲, 大坪, 毅人, 柳澤, 信之, 大島, 隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2150

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Summary:症例は62歳の女性.3年前の腹部CT検査で肝右葉に10.2×10.5cm大の肝嚢胞を認め,30.0×20.1cm大と経時的に肝嚢胞の増大傾向を認めたため,当院消化器内科より依頼となった.CT上嚢胞による下大静脈の高度圧排像,両大腿静脈~下大静脈腎静脈流入部付近にかけて内腔の低吸収域が認められ,肝嚢胞の圧排が原因と思われる下大静脈血栓症をきたしている可能性が考えられた.術後塞栓症が危惧されたため,下大静脈フィルター(IVCフィルター)を挿入後,腹腔鏡下に肝嚢胞開窓術を施行.病理組織学的には孤立性肝嚢胞で,明らかな悪性所見は認められなかった.術後経過は良好で第11病日にIVCフィルターを抜去し,第12病日に軽快退院となった.今回,われわれは経時的に増大する巨大肝嚢胞を認め,術前にIVCフィルターを挿入し腹腔鏡下肝嚢胞開窓術にて安全に治療しえた1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2150