劇症1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシスに併発したNOMIの1例

症例は64歳,女性.全身倦怠感,嘔吐を主訴に近医を受診.血糖値854mg/dl,pH 7.032,アニオンギャップ29.9mmol/lと劇症1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis : DKA)が疑われ当院内科に入院となった.右下腹部痛も認め,CT検査で終末回腸の気腫像および門脈ガスを認めた.腸管壊死の疑いで同日,緊急手術を施行.終末回腸に分節状の虚血性変化を認めた.DKAによる末梢循環不全が予想され,一期的には吻合せず小腸切除,人工肛門造設術を施行した.病理学的所見は非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischem...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 11; pp. 2034 - 2038
Main Authors 正木, 幸善, 竹中, 芳治, 藤井, 学人, 古川, 聡一, 田代, 浄, 山下, 俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.2034

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Summary:症例は64歳,女性.全身倦怠感,嘔吐を主訴に近医を受診.血糖値854mg/dl,pH 7.032,アニオンギャップ29.9mmol/lと劇症1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis : DKA)が疑われ当院内科に入院となった.右下腹部痛も認め,CT検査で終末回腸の気腫像および門脈ガスを認めた.腸管壊死の疑いで同日,緊急手術を施行.終末回腸に分節状の虚血性変化を認めた.DKAによる末梢循環不全が予想され,一期的には吻合せず小腸切除,人工肛門造設術を施行した.病理学的所見は非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia : NOMI)と考えられた.劇症1型糖尿病にDKAを併発し急激な末梢循環不全によるNOMIを発症した症例を経験した.意識障害で発見が遅れる可能性もあり,NOMIを念頭に置きフォローする必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.2034