Laparoscopic interval appendectomyによって診断された卵巣癌虫垂転移の1例
症例は81歳,女性.3日前より続く心窩部痛を主訴に当院を受診.腹部CTにて虫垂内部の糞石とその周囲に32mm大の腫瘤影を認め,急性虫垂炎による限局性腹膜炎および腹腔内膿瘍の診断で抗菌薬投与を開始した.保存的加療によって炎症は沈静化し,画像検査で膿瘍の縮小を認めたため,腹腔鏡下待機的虫垂切除術(laparoscopic interval appendectomy)の方針とした.手術所見では,虫垂は右卵巣と強固に癒着していたが,明らかな腫瘍性病変は認めなかった.病理組織学的検査で,虫垂粘膜に病変を認めなかったが,漿膜下層に腺癌を認め,免疫染色の結果から卵巣癌虫垂転移と診断した.高齢者の急性虫垂炎で...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 11; pp. 2286 - 2290 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2018
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.79.2286 |
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Summary: | 症例は81歳,女性.3日前より続く心窩部痛を主訴に当院を受診.腹部CTにて虫垂内部の糞石とその周囲に32mm大の腫瘤影を認め,急性虫垂炎による限局性腹膜炎および腹腔内膿瘍の診断で抗菌薬投与を開始した.保存的加療によって炎症は沈静化し,画像検査で膿瘍の縮小を認めたため,腹腔鏡下待機的虫垂切除術(laparoscopic interval appendectomy)の方針とした.手術所見では,虫垂は右卵巣と強固に癒着していたが,明らかな腫瘍性病変は認めなかった.病理組織学的検査で,虫垂粘膜に病変を認めなかったが,漿膜下層に腺癌を認め,免疫染色の結果から卵巣癌虫垂転移と診断した.高齢者の急性虫垂炎では,転移性虫垂腫瘍の存在を念頭に置く必要がある. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.79.2286 |