下部消化管穿孔術後開放創に対する局所陰圧閉鎖療法の経験

下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎の症例では,術後手術部位感染症(SSI)の発生率が非常に高く,発生すると創治癒までに長時間を要する.当院では2014年より,創部SSIの予防のため一期的な皮膚縫合閉鎖を行わず,開放創として創部に対して局所陰圧閉鎖療法(NPWT)を行い,その後遅延一次縫合を施行している.2014年2月~2018年12月に当院で下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎に対する緊急手術を行った53例のうち,術後よりNPWTを施行した群27例(A群)と皮膚を一期的一次縫合した26例(B群)に分けて比較検討した.B群では一期的に二層縫合を行った.A群では4例(14.8%),B群では9例(...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 12; pp. 2132 - 2135
Main Authors 長谷川, 繁生, 佐藤, 多未笑, 浜田, 和也, 二瓶, 義博, 大西, 啓祐, 五十嵐, 幸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.2132

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Summary:下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎の症例では,術後手術部位感染症(SSI)の発生率が非常に高く,発生すると創治癒までに長時間を要する.当院では2014年より,創部SSIの予防のため一期的な皮膚縫合閉鎖を行わず,開放創として創部に対して局所陰圧閉鎖療法(NPWT)を行い,その後遅延一次縫合を施行している.2014年2月~2018年12月に当院で下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎に対する緊急手術を行った53例のうち,術後よりNPWTを施行した群27例(A群)と皮膚を一期的一次縫合した26例(B群)に分けて比較検討した.B群では一期的に二層縫合を行った.A群では4例(14.8%),B群では9例(34.6%)に創部SSIを認めた.A群では遅延一次縫合までの平均日数は9.0日であった.当院での使用経験上,NPWTは創部SSIの発生予防に有用と思われ,報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.2132