TAPP法で修復した陰嚢に達する膀胱ヘルニアの1例

症例は65歳,男性.約2年前に左鼠径部の膨隆を自覚し,当院を受診.左鼠径ヘルニアと診断され,手術を勧められていたが放置していた.徐々に増大し来院.腹部CT検査では左鼠径ヘルニアを認め,腹腔内脂肪と膀胱の一部の脱出を疑う所見を認めた.膀胱脱出を伴った左鼠径ヘルニア(膀胱ヘルニア)の疑いにてTAPP(transabdominal preperitoneal repair)法による根治手術を施行した.膀胱がヘルニア嚢とともに脱出したタイプII-3の鼠径ヘルニアと診断した.経過は良好で,術後6日目に退院となった. 膀胱ヘルニアにおいては,術中膀胱損傷を回避するために術前診断が重要であり,CT検査が有用...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 2587 - 2591
Main Authors 塚尾, 祐貴子, 三方, 彰喜, 浦野, 尚美, 水谷, 伸, 田守, 登茂治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2587

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Summary:症例は65歳,男性.約2年前に左鼠径部の膨隆を自覚し,当院を受診.左鼠径ヘルニアと診断され,手術を勧められていたが放置していた.徐々に増大し来院.腹部CT検査では左鼠径ヘルニアを認め,腹腔内脂肪と膀胱の一部の脱出を疑う所見を認めた.膀胱脱出を伴った左鼠径ヘルニア(膀胱ヘルニア)の疑いにてTAPP(transabdominal preperitoneal repair)法による根治手術を施行した.膀胱がヘルニア嚢とともに脱出したタイプII-3の鼠径ヘルニアと診断した.経過は良好で,術後6日目に退院となった. 膀胱ヘルニアにおいては,術中膀胱損傷を回避するために術前診断が重要であり,CT検査が有用と考えられる.今回われわれは,術前にCT検査にて診断し,TAPP法にて安全に修復しえた鼠径部の膀胱ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2587