保存的治療が可能であった腹部内臓動脈瘤破裂による腹腔内血腫の2例

SAM(segmental arterial mediolysis)が原因と思われる腹部内臓動脈瘤破裂の2例を経験し,いずれも保存的に治療を行い得たので報告する.症例1は53歳,男性.突然の腹痛で発症し外来受診時の検査では白血球数の上昇の他は特に異常なく経過観察入院となっていたが,入院後に貧血を生じCTを行ったところ腹腔内に血腫を認めた.症例2は58歳,女性.脳梗塞のため他院入院中であったが突然腹痛を生じCTで腹腔内に血腫を認めたために当院へ搬送された.いずれも腹部血管造影で広範囲にわたって血管径の不整や動脈瘤を認め,SAMによる中結腸動脈瘤の破裂が疑われた.血管造影の時点では明らかな活動性出...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 776 - 780
Main Authors 福田, 敏勝, 倉西, 文仁, 楠部, 潤子, 中原, 雅浩, 黒田, 義則, 石崎, 康代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.776

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Summary:SAM(segmental arterial mediolysis)が原因と思われる腹部内臓動脈瘤破裂の2例を経験し,いずれも保存的に治療を行い得たので報告する.症例1は53歳,男性.突然の腹痛で発症し外来受診時の検査では白血球数の上昇の他は特に異常なく経過観察入院となっていたが,入院後に貧血を生じCTを行ったところ腹腔内に血腫を認めた.症例2は58歳,女性.脳梗塞のため他院入院中であったが突然腹痛を生じCTで腹腔内に血腫を認めたために当院へ搬送された.いずれも腹部血管造影で広範囲にわたって血管径の不整や動脈瘤を認め,SAMによる中結腸動脈瘤の破裂が疑われた.血管造影の時点では明らかな活動性出血は認めず2例とも輸血と降圧療法で保存的に治療が可能であった.SAMによる腹部内臓動脈瘤の破裂では動脈瘤の部位や全身状態によっては保存的に治療を行うことはひとつの選択肢であり得ると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.776