胃癌術後補助化学療法のTS-1が原因と考えられる横紋筋融解症の1例
TS-1の有害事象として横紋筋融解症の報告がある.今回,TS-1が原因の一つと考えられる横紋筋融解症を経験したので報告する.症例は74歳,男性.既往歴に糖尿病と高血圧で内服加療歴があるが,現在は服薬していない.18カ月前に胃癌に対して胃全摘術,D2郭清,Roux-en-Y再建を施行されている.病理結果はT3(SS)N0(0/52)H0P0CY0M0,Stage II Aであった.術後補助化学療法として,術後42日目より2週内服1週休薬のスケジュールでTS-1を開始した.明らかな有害事象なく内服可能であった.本人の希望で継続していた15カ月目に全身筋力の低下,下肢の脱力感を自覚した.歩行困難とな...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 12; pp. 2170 - 2174 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.80.2170 |
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Summary: | TS-1の有害事象として横紋筋融解症の報告がある.今回,TS-1が原因の一つと考えられる横紋筋融解症を経験したので報告する.症例は74歳,男性.既往歴に糖尿病と高血圧で内服加療歴があるが,現在は服薬していない.18カ月前に胃癌に対して胃全摘術,D2郭清,Roux-en-Y再建を施行されている.病理結果はT3(SS)N0(0/52)H0P0CY0M0,Stage II Aであった.術後補助化学療法として,術後42日目より2週内服1週休薬のスケジュールでTS-1を開始した.明らかな有害事象なく内服可能であった.本人の希望で継続していた15カ月目に全身筋力の低下,下肢の脱力感を自覚した.歩行困難となり,症状発症2日後に受診した.血液検査上,白血球23,600/ul,LDH 544U/l,CK 20,052U/l,CRP 26.7mg/dlと異常高値を呈し,血中ミオグロビン360ng/ml,尿中ミオグロビン2,800ng/mlとともに異常高値を示していた.以上より横紋筋融解症と診断した.入院後点滴加療にて改善し,第11病日に軽快退院となった.TS-1の内服中に横紋筋融解症を発症した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.80.2170 |