直腸癌に対する腹腔鏡下手術後に発症した門脈血栓症の1例

門脈血栓症は重篤で致命的となり得る合併症であるが,大腸癌術後に発症することは極めてまれである.今回われわれは,直腸癌に対する腹腔鏡下手術後に発症した門脈血栓症の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.進行直腸癌に対し腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.術後7日目に,発熱の精査で施行した腹部造影CT検査にて門脈に血栓を認めた.腸管うっ血や肝壊死の所見はなかった.速やかに抗凝固療法を開始したところ,術後14日目の造影CT検査では門脈血栓は消失していた.気腹や手術体位による門脈血流の低下,担癌状態による過凝固状態,周術期の脱水といった複数の要因が関与し本疾患が発症したと考えられた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 11; pp. 3133 - 3139
Main Authors 金谷, 信彦, 森廣, 俊昭, 青木, 秀樹, 二宮, 卓之, 竹内, 仁司, 田中屋, 宏爾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.3133

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Summary:門脈血栓症は重篤で致命的となり得る合併症であるが,大腸癌術後に発症することは極めてまれである.今回われわれは,直腸癌に対する腹腔鏡下手術後に発症した門脈血栓症の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.進行直腸癌に対し腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.術後7日目に,発熱の精査で施行した腹部造影CT検査にて門脈に血栓を認めた.腸管うっ血や肝壊死の所見はなかった.速やかに抗凝固療法を開始したところ,術後14日目の造影CT検査では門脈血栓は消失していた.気腹や手術体位による門脈血流の低下,担癌状態による過凝固状態,周術期の脱水といった複数の要因が関与し本疾患が発症したと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.3133