舌下神経麻痺を契機に発見された上咽頭癌の1例

今回,下位脳神経麻痺である舌下神経麻痺を契機に発見された上咽頭癌の1例を経験したので報告する。症例は52歳男性,舌の運動障害を主訴に当院神経内科を受診。当初は,突然発症の舌運動障害のため脳梗塞等の中枢性疾患を疑われ,頭部MRI施行するも頭蓋内の異常は指摘されなかった。右舌下神経麻痺に関し当科紹介受診となり,鼻咽腔内視鏡検査を施行したところ上咽頭右側壁〜後上壁にかけ隆起性病変を認め,生検にて上咽頭扁平上皮癌と診断。また画像評価にて右頸部リンパ節転移も認め,化学放射線療法を施行した。舌下神経麻痺を主訴とする上咽頭癌症例は稀で,国内では報告例が少ない。腫瘍の進展様式および下位脳神経麻痺等について考察...

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Published in頭頸部外科 Vol. 29; no. 3; pp. 299 - 304
Main Authors 後藤, 一貴, 中島, 隆博, 今野, 渉, 滝瀬, 由吏江, 石井, 健太, 今井, 貫太, 平林, 秀樹, 中島, 逸男, 阿久津, 誠, 春名, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.29.299

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Summary:今回,下位脳神経麻痺である舌下神経麻痺を契機に発見された上咽頭癌の1例を経験したので報告する。症例は52歳男性,舌の運動障害を主訴に当院神経内科を受診。当初は,突然発症の舌運動障害のため脳梗塞等の中枢性疾患を疑われ,頭部MRI施行するも頭蓋内の異常は指摘されなかった。右舌下神経麻痺に関し当科紹介受診となり,鼻咽腔内視鏡検査を施行したところ上咽頭右側壁〜後上壁にかけ隆起性病変を認め,生検にて上咽頭扁平上皮癌と診断。また画像評価にて右頸部リンパ節転移も認め,化学放射線療法を施行した。舌下神経麻痺を主訴とする上咽頭癌症例は稀で,国内では報告例が少ない。腫瘍の進展様式および下位脳神経麻痺等について考察する。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.29.299