特発性小腸穿孔の1例
症例は29歳,男性.突然の腹痛を訴え来院した.来院時,腹部全体に圧痛,筋性防御を認めた.腹部単純X線検査ならびに腹部CT検査にて腹腔内遊離ガス像ならびに腹水を認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.Treitz靱帯より約270cm肛門側小腸に約8mm大の穿孔を認め,穿孔部の前後約200cmの小腸の著明な壁肥厚,漿膜の暗赤色変化を認めた.穿孔部と著明な壁肥厚が認められた小腸を約200cm部分切除した.摘出標本では穿孔部周囲の粘膜に異常所見はなく,組織学的にも虚血,慢性炎症,悪性所見は認められず,粘膜の漿膜側へのslidingも認められなかった.以上より特発性小腸穿孔と診断...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 829 - 832 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.829 |
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Summary: | 症例は29歳,男性.突然の腹痛を訴え来院した.来院時,腹部全体に圧痛,筋性防御を認めた.腹部単純X線検査ならびに腹部CT検査にて腹腔内遊離ガス像ならびに腹水を認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.Treitz靱帯より約270cm肛門側小腸に約8mm大の穿孔を認め,穿孔部の前後約200cmの小腸の著明な壁肥厚,漿膜の暗赤色変化を認めた.穿孔部と著明な壁肥厚が認められた小腸を約200cm部分切除した.摘出標本では穿孔部周囲の粘膜に異常所見はなく,組織学的にも虚血,慢性炎症,悪性所見は認められず,粘膜の漿膜側へのslidingも認められなかった.以上より特発性小腸穿孔と診断した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.829 |