G-CSFを産生した骨・軟骨化生を伴う乳癌の1例

症例は53歳,女性.皮膚浸潤・壊死潰瘍を伴う20cmの右乳癌の精査加療目的で受診した.遠隔転移はなかったが腋窩リンパ節転移を伴っていた.血液検査ではWBC 47,200/μLと異常高値を認めたが,炎症所見に乏しかったため血清G-CSFを測定したところ,異常高値であった.局所進行乳癌のため化学療法を開始したが,腫瘍からの出血,蛋白漏出のため継続困難となり,局所制御およびQOLの改善目的に原発巣切除およびリンパ節郭清を行った.病理所見ではHER2蛋白過剰発現と抗G-CSF抗体染色陽性の骨・軟骨化生を伴う乳癌であった.G-CSF産生乳癌は生物学的悪性度が高く予後不良である.HER2が過剰発現し骨・軟...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 12; pp. 2148 - 2152
Main Authors 大城戸, 政行, 島﨑, 亜希子, 深水, 康吉, 河野, 博, 本下, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.2148

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Summary:症例は53歳,女性.皮膚浸潤・壊死潰瘍を伴う20cmの右乳癌の精査加療目的で受診した.遠隔転移はなかったが腋窩リンパ節転移を伴っていた.血液検査ではWBC 47,200/μLと異常高値を認めたが,炎症所見に乏しかったため血清G-CSFを測定したところ,異常高値であった.局所進行乳癌のため化学療法を開始したが,腫瘍からの出血,蛋白漏出のため継続困難となり,局所制御およびQOLの改善目的に原発巣切除およびリンパ節郭清を行った.病理所見ではHER2蛋白過剰発現と抗G-CSF抗体染色陽性の骨・軟骨化生を伴う乳癌であった.G-CSF産生乳癌は生物学的悪性度が高く予後不良である.HER2が過剰発現し骨・軟骨化生を伴うG-CSF産生乳癌は,本症例が初めての報告である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.2148