虫垂炎が原因と考えられた後腹膜膿瘍の1例

症例は31歳, 女性. 発熱, 下痢, 右背部痛を主訴とし, 前医を受診した. 腎盂腎炎の診断で抗生剤にて経過観察となったが軽快せず, 当科紹介受診となる. 血液検査にて炎症所見を認め, 腹部CT検査で, 右下腹部に糞石が疑われるhigh densityがあり, 右腎下極から骨盤内に至る後腹膜の液体貯留と, Douglas窩に少量の腹水を認めたため, 急性虫垂炎の穿通が原因と思われる後腹膜膿瘍と診断した. 同日, 後腹膜切開排膿ドレナージを施行し, ドレナージ後28日目, 膿瘍の縮小と炎症の軽快を待って, 開腹手術を施行した. 回盲部が後腹膜と癒着していたが, 腹腔内の炎症所見は軽度であった....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 4; pp. 910 - 915
Main Authors 清水, 英治, 知久, 毅, 田代, 亜彦, 佐野, 渉, 佐々木, 健秀, 藤森, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.910

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Summary:症例は31歳, 女性. 発熱, 下痢, 右背部痛を主訴とし, 前医を受診した. 腎盂腎炎の診断で抗生剤にて経過観察となったが軽快せず, 当科紹介受診となる. 血液検査にて炎症所見を認め, 腹部CT検査で, 右下腹部に糞石が疑われるhigh densityがあり, 右腎下極から骨盤内に至る後腹膜の液体貯留と, Douglas窩に少量の腹水を認めたため, 急性虫垂炎の穿通が原因と思われる後腹膜膿瘍と診断した. 同日, 後腹膜切開排膿ドレナージを施行し, ドレナージ後28日目, 膿瘍の縮小と炎症の軽快を待って, 開腹手術を施行した. 回盲部が後腹膜と癒着していたが, 腹腔内の炎症所見は軽度であった. また, 明らかな虫垂を同定できなかったため, 回盲部切除を施行した. 術後16日目経過良好にて軽快退院となった. 急性虫垂炎が原因と考えられた後腹膜膿瘍に対し, 腹膜外アプローチによるドレナージを先行させ, 炎症所見の落ち着いた後に開腹手術を施行した1例につき, 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.910