関節腫脹から顕在化しBehçet病の合併を診断した症候性原発性胆汁性肝硬変の1例

症例は35歳男性.2008年より原因不明のぶどう膜炎に罹患していた.2011年7月に皮膚掻痒感と胆道系酵素の上昇を認め当院へ紹介された.精査入院により原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断し,以後ウルソデオキシコール酸の内服加療を行っていた.2012年5月に両手指の関節腫脹を認めたが,関節リウマチは否定的であった.以後半年毎に出現するものの1週間程度で自然軽快するため,経過観察としていた.2014年4月,ぶどう膜炎の増悪を認めた.7月に,両手指の関節腫脹と伴に繰り返す発熱と潰瘍を伴う口内炎を認めたため,精査入院となった.ぶどう膜炎に加え,両手指の関節炎,口腔内潰瘍と陰茎潰瘍,回腸末端に打ち抜き型の...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 11; pp. 575 - 583
Main Authors 宮城, 琢也, 藥師神, 崇行, 鎌田, 佳宏, 平松, 直樹, 竹原, 徹郎, 大川, 和良, 片山, 一朗, 田中, 文, 巽, 智秀, 吉田, 雄一, 森井, 英一, 小豆澤, 宏明, 坂根, 貞嗣, 疋田, 隼人, 小瀬, 嗣子, 阪森, 亮太郎, 辻井, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.575

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Summary:症例は35歳男性.2008年より原因不明のぶどう膜炎に罹患していた.2011年7月に皮膚掻痒感と胆道系酵素の上昇を認め当院へ紹介された.精査入院により原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断し,以後ウルソデオキシコール酸の内服加療を行っていた.2012年5月に両手指の関節腫脹を認めたが,関節リウマチは否定的であった.以後半年毎に出現するものの1週間程度で自然軽快するため,経過観察としていた.2014年4月,ぶどう膜炎の増悪を認めた.7月に,両手指の関節腫脹と伴に繰り返す発熱と潰瘍を伴う口内炎を認めたため,精査入院となった.ぶどう膜炎に加え,両手指の関節炎,口腔内潰瘍と陰茎潰瘍,回腸末端に打ち抜き型の多発潰瘍を認め,不全型Behçet病と診断し,コルヒチンの内服加療を行った.Behçet病を合併したPBC症例は過去に3例の報告があるが,比較的進行した症候性PBC例では初である.貴重な症例と考え報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.575