転倒により遅発性脾破裂と外傷性横隔膜ヘルニアを併発した1例

症例は79歳,男性.歩行中に転倒し,左側腹部を強打した.翌日,近医にて左第12肋骨骨折と診断され,経過観察とされた.受傷6日後,突然の腹痛・嘔気のため救急搬送された.CTにて脾臓からの造影剤血管外漏出,腹腔内大量出血,左血胸が認められた.ショック状態で,急速輸液・輸血への反応は乏しく,遅発性脾破裂の診断で脾摘術を施行した.術中,大網をヘルニア内容とする外傷性横隔膜ヘルニアを認めた.胸腔内には血胸を認めたものの,肺損傷も胸壁損傷も認めず,横隔膜を縫合した. 遅発性脾損傷は鈍的脾損傷の0.3~1.7%,外傷性横隔膜ヘルニアは鈍的外傷の約0.8~1.6%に生じる,比較的稀な疾患である.今回,われわれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 11; pp. 2684 - 2688
Main Authors 高須, 香吏, 増尾, 仁志, 窪田, 晃治, 唐澤, 文寿, 竹内, 信道, 中山, 中
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2684

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Summary:症例は79歳,男性.歩行中に転倒し,左側腹部を強打した.翌日,近医にて左第12肋骨骨折と診断され,経過観察とされた.受傷6日後,突然の腹痛・嘔気のため救急搬送された.CTにて脾臓からの造影剤血管外漏出,腹腔内大量出血,左血胸が認められた.ショック状態で,急速輸液・輸血への反応は乏しく,遅発性脾破裂の診断で脾摘術を施行した.術中,大網をヘルニア内容とする外傷性横隔膜ヘルニアを認めた.胸腔内には血胸を認めたものの,肺損傷も胸壁損傷も認めず,横隔膜を縫合した. 遅発性脾損傷は鈍的脾損傷の0.3~1.7%,外傷性横隔膜ヘルニアは鈍的外傷の約0.8~1.6%に生じる,比較的稀な疾患である.今回,われわれは遅発性脾破裂と外傷性横隔膜ヘルニアを併発した1例を経験した.速やかに手術を行い,良好な経過が得られた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2684