深部静脈血栓症をきたした孤立性腸骨動脈瘤の1例

深部静脈血栓症はたびたび遭遇する疾患であるが,時に孤立性腸骨動脈瘤を診断する契機となることがある.症例は69歳,男性.主訴は右下肢腫脹で右下肢深部静脈血栓症の診断で入院となった.造影CT,動脈造影,静脈造影にて右総腸骨動脈瘤と下大静脈まで連続する深部静脈血栓症を認めた.右総腸骨動脈瘤の圧迫による深部静脈血栓症と診断した.抗凝固療法を行い,右下肢の腫脹は軽減したが静脈血栓は消失しなかった.そのためIVCフィルター留置後に,腸骨動脈瘤に対し人工血管置換術を行った.術後経過は良好で右下肢の腫脹は消失し14病日に退院した.半年後の造影CT検査で血栓の消失を認めた.深部静脈血栓症を伴った孤立性腸骨動脈瘤...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 239 - 242
Main Authors 竹尾, 正彦, 古川, 公之, 山本, 満雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.239

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Summary:深部静脈血栓症はたびたび遭遇する疾患であるが,時に孤立性腸骨動脈瘤を診断する契機となることがある.症例は69歳,男性.主訴は右下肢腫脹で右下肢深部静脈血栓症の診断で入院となった.造影CT,動脈造影,静脈造影にて右総腸骨動脈瘤と下大静脈まで連続する深部静脈血栓症を認めた.右総腸骨動脈瘤の圧迫による深部静脈血栓症と診断した.抗凝固療法を行い,右下肢の腫脹は軽減したが静脈血栓は消失しなかった.そのためIVCフィルター留置後に,腸骨動脈瘤に対し人工血管置換術を行った.術後経過は良好で右下肢の腫脹は消失し14病日に退院した.半年後の造影CT検査で血栓の消失を認めた.深部静脈血栓症を伴った孤立性腸骨動脈瘤の本邦報告は自験例を含めて3例のみであった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.239