小腸鏡にて診断し腹腔鏡補助下に切除した回腸脂肪腫による成人腸重積症の1例

症例は73歳,男性.2週間の5kgの体重減少および腹痛を主訴に近医受診.腹部CTで回腸末端から上行結腸にかけて腸重積像を認め当科紹介となった.小腸鏡を施行したところ,回腸末端から約50cm口側に径40mm大の発赤した粘膜下腫瘍を認め,観察中も蠕動により腸重積を呈していたためこれを責任病変と判断し,病変部近傍に点墨とクリッピングを行い,手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,術前点墨された病変部を確認できたため,右下腹部に4cmの小開腹創をおき,体外へ誘導後小腸部分切除術を施行した.病理組織学的には成熟した大型の脂肪細胞から構成される脂肪腫と診断された.術後経過は良好で第9病日に退院した....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 966 - 970
Main Authors 柿沼, 大輔, 菅野, 仁士, 山下, 直行, 住吉, 宏樹, 小澤, 俊文, 内田, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.966

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Summary:症例は73歳,男性.2週間の5kgの体重減少および腹痛を主訴に近医受診.腹部CTで回腸末端から上行結腸にかけて腸重積像を認め当科紹介となった.小腸鏡を施行したところ,回腸末端から約50cm口側に径40mm大の発赤した粘膜下腫瘍を認め,観察中も蠕動により腸重積を呈していたためこれを責任病変と判断し,病変部近傍に点墨とクリッピングを行い,手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,術前点墨された病変部を確認できたため,右下腹部に4cmの小開腹創をおき,体外へ誘導後小腸部分切除術を施行した.病理組織学的には成熟した大型の脂肪細胞から構成される脂肪腫と診断された.術後経過は良好で第9病日に退院した.小腸鏡にて術前に病変部を確認し,腹腔鏡補助下に切除した回腸脂肪腫腸重積の本邦報告例はみられず貴重な症例と思われたので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.966