直腸癌異時性膵転移の1例

症例は79歳,男性.2001年5月に直腸癌に対し低位前方切除術を施行していた.その後,2004年2月,3月および2005年6月に肺転移で肺部分切除術を施行した.その後ホリナート,テガフール・ウラシルによる補助化学療法を行っていたが2005年10月頃よりCEAの上昇を認め経過観察を行っていた.2008年6月上旬より左上腹部痛が出現し入院となった.CT検査では膵尾部に集簇する小嚢胞様の低吸収域と脾門部に不整な低吸収域を認め転移性膵癌と診断し膵尾部切除術・脾摘出術および胃部分切除術を施行した.病理所見では腫瘍の主座は膵尾部に存在し脾門部に増殖する高分化型腺癌で,以前切除した直腸・肺の組織型と類似して...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 438 - 443
Main Authors 有我, 隆光, 尾崎, 正彦, 吉村, 清司, 大島, 郁也, 篠藤, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.438

Cover

More Information
Summary:症例は79歳,男性.2001年5月に直腸癌に対し低位前方切除術を施行していた.その後,2004年2月,3月および2005年6月に肺転移で肺部分切除術を施行した.その後ホリナート,テガフール・ウラシルによる補助化学療法を行っていたが2005年10月頃よりCEAの上昇を認め経過観察を行っていた.2008年6月上旬より左上腹部痛が出現し入院となった.CT検査では膵尾部に集簇する小嚢胞様の低吸収域と脾門部に不整な低吸収域を認め転移性膵癌と診断し膵尾部切除術・脾摘出術および胃部分切除術を施行した.病理所見では腫瘍の主座は膵尾部に存在し脾門部に増殖する高分化型腺癌で,以前切除した直腸・肺の組織型と類似していたこと,Cytokeratin7染色で陰性Cytokeratin20染色で陽性を示していたことより直腸癌の膵転移と診断した.直腸癌の膵転移は稀であり若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.438