CYFRA21-1高値を示し原発性肺癌との鑑別困難であった肺放線菌症の1手術例

症例は64歳の男性.喀血を主訴に受診した.胸部CTで左肺S6に径0.8 cmの充実性結節影を認め,FDG-PETで同部位にSUVmax 1.7の集積を認めた.気管支鏡検査を施行したが,組織学的,細菌学的に確定診断は得られなかった.1年の経過でCYFRA21-1は経時的に上昇し胸部CTで結節影が径1.2 cmに増大したため,原発性肺癌を疑い左肺S6区域切除を施行した.病理組織検査にてactinomycosisと思われる菌塊を認め肺放線菌症と診断した.菌塊周囲にはサイトケラチン陽性の肺胞上皮による小型管腔構造を多数認め,本症に伴うCYFRA21-1の上昇に寄与していた可能性が示唆された.CYFRA...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 岡阪, 敏樹, 渡邉, 裕樹, 平松, 義規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.35

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Summary:症例は64歳の男性.喀血を主訴に受診した.胸部CTで左肺S6に径0.8 cmの充実性結節影を認め,FDG-PETで同部位にSUVmax 1.7の集積を認めた.気管支鏡検査を施行したが,組織学的,細菌学的に確定診断は得られなかった.1年の経過でCYFRA21-1は経時的に上昇し胸部CTで結節影が径1.2 cmに増大したため,原発性肺癌を疑い左肺S6区域切除を施行した.病理組織検査にてactinomycosisと思われる菌塊を認め肺放線菌症と診断した.菌塊周囲にはサイトケラチン陽性の肺胞上皮による小型管腔構造を多数認め,本症に伴うCYFRA21-1の上昇に寄与していた可能性が示唆された.CYFRA21-1は病巣の切除,術後の抗菌薬投与で正常範囲まで低下した.本症は画像検査で原発性肺癌との鑑別困難なことも多いが,CYFRA21-1が上昇したという例は報告が無く,極めて稀な1例であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.35