気胸を発症した肺間葉性のう胞性過誤腫の1症例

症例は47歳女性.咳嗽を主訴に近医を受診,胸部レントゲンで右気胸を指摘され当院へ紹介となった.胸部CTでは右中葉に壁の厚い約10 cmののう胞を認めた.胸腔ドレナージを行うも,リークが遷延し良好な再膨張が得られないため手術を施行した.手術時,のう胞は中葉をほぼ占拠しており中葉切除を施行した.術後病理では,のう胞の内腔は腺管の増生で裏打ちされた多列線毛上皮が認められ,また間質の一部では平滑筋や軟骨の形成が認められたため,肺間葉性のう胞性過誤腫と診断された.肺間葉性のう胞性過誤腫は多発することが多く,突然の出血や気胸を合併することが多いとされる.術前の診断は困難であるが,悪性転化の報告もあり,外科...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 1; pp. 66 - 68
Main Authors 稲沢, 慶太郎, 角岡, 信男, 後藤, 正司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.66

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Summary:症例は47歳女性.咳嗽を主訴に近医を受診,胸部レントゲンで右気胸を指摘され当院へ紹介となった.胸部CTでは右中葉に壁の厚い約10 cmののう胞を認めた.胸腔ドレナージを行うも,リークが遷延し良好な再膨張が得られないため手術を施行した.手術時,のう胞は中葉をほぼ占拠しており中葉切除を施行した.術後病理では,のう胞の内腔は腺管の増生で裏打ちされた多列線毛上皮が認められ,また間質の一部では平滑筋や軟骨の形成が認められたため,肺間葉性のう胞性過誤腫と診断された.肺間葉性のう胞性過誤腫は多発することが多く,突然の出血や気胸を合併することが多いとされる.術前の診断は困難であるが,悪性転化の報告もあり,外科的切除と適切な経過観察が勧められる.稀ではあるが,のう胞性疾患の鑑別疾患として念頭に置く必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.66