下顎部に発生したデスモイド型乳幼児線維腫症の1例

デスモイド型乳幼児線維腫症はまれな疾患である。良性腫瘍であり,転移を生じないが,周囲組織浸潤が強く,治療は手術による完全摘出が最良とされている。しかし,頭頸部に発生する場合,切除後の形態,機能,顎顔面骨の成長を考慮する必要があり,これらを犠牲にした完全摘出を行うか否かは意見の一致をみない。 今回,2歳女児の右下顎部に発生したデスモイド型乳幼児線維腫症を経験した。腫瘍は下顎骨に一部浸潤していたが,年齢,切除後の形態,機能を考慮し,下顎骨を橋状に温存し腫瘍を摘出した。病理学的腫瘍残存が疑われたが,術後17か月経過し再発,増大を認めず,形態,機能も良好である。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 23; no. 2; pp. 205 - 209
Main Authors 真栄田, 裕行, 長谷川, 昌宏, 安慶名, 信也, 山下, 懐, 新垣, 香太, 上原, 貴行, 鈴木, 幹男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2013
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.23.205

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Summary:デスモイド型乳幼児線維腫症はまれな疾患である。良性腫瘍であり,転移を生じないが,周囲組織浸潤が強く,治療は手術による完全摘出が最良とされている。しかし,頭頸部に発生する場合,切除後の形態,機能,顎顔面骨の成長を考慮する必要があり,これらを犠牲にした完全摘出を行うか否かは意見の一致をみない。 今回,2歳女児の右下顎部に発生したデスモイド型乳幼児線維腫症を経験した。腫瘍は下顎骨に一部浸潤していたが,年齢,切除後の形態,機能を考慮し,下顎骨を橋状に温存し腫瘍を摘出した。病理学的腫瘍残存が疑われたが,術後17か月経過し再発,増大を認めず,形態,機能も良好である。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.23.205